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身体を診察するのは大切「オムそばの教訓」

オムそばを食べた後からおう吐して苦しんでいると90才の女性から連絡があり「しつこいもの食べたからだね」と、まず胃腸薬の点滴をしてみた。ところが翌日も「まだ治りません」というので採血検査をしてみたら、なぜか炎症反応(CRP)が上がっている。細菌感染かな?と慌てて往診し、腹を触ると右上腹部にゴルフボール大の丸くてかたいものが触れた。強く押さえるとすこし痛むらしい。
内科の教科書に出てくる「胆石・胆のう炎」の所見である。
もう週末なので急いで救急病院へお願いし、なんとか入院できた。卵を食べたあとに胆石発作が起こることは珍しくないのだから「オムそば食べてから」で胆石では?と気づくべきだったし、制吐剤の点滴をする前に腹を触って確認すべきであったと反省する。

病院に行けば、胆石や胆嚢炎の診断には腹部エコーが使われる。
エコー検査は45年ほど前に始まったので、私が研修医のころにはまだ新しい検査であった。開発したのは船舶のソナーや魚群探知機を作っていた会社で、初号機は腹の上に水のはいった大きなビニール袋をのせ、その水面に超音波ビーム発生装置をゆっくりと走らせる。するとブラウン管に「ほわーっ」と腹の中が描出される。
大阪の研修病院にはまだその機器が残っていて実演してもらったが、その画像はソナー探知機に潜水艦が映るような神秘の画像であった。CTやMRIも昭和の終わりころに一般化してきた医療検査機械である。

なので、医学の歴史が始まってからずっと20世紀までは患者診断についてのほとんどは、身体診察による感覚判断によるものであり、つぎに血液検査やレントゲンをオーダーするという順番であった。
「日本一の内科医」と言われた東大病院第3内科のO教授が自身の診察で誤診率が14.2%であると報告し、一般人は誤診率の高さに驚いたが医師たちはその低さに驚いたといわれる時代であった。おそらく臨床診療の基本は現在も患者さんの話を聞き、苦しみを理解したうえで体にじかに触れて診察することに始まるべきであり、そのあとに検査をして確かめるのが正道である。一方では医療者が多忙となり他方で医療機器が進化して便利になり「100の診察より、1枚のCT」という格言?が生まれるほど検査が便利になった。
先にCTを撮影してしまえば診察は必要なくなるのだろうか?

先日に他院で治療中の肝臓病の患者の腹部を診せてもらおうとしたら「はじめて腹を診察してもらった」という。
こんなこともあるくらいに特に大病院には身体診察をしない医者がたくさんいる。病院には検査機器がそろっているからよいのかもしれないが、在宅の診療はマンツーマンに五感で相手の状態を知って判断対処せねばならない。
「あなたの辛いところを教えてください、診察させてください、そしてそのあとに手当させてください」というのが基本だと反省したオムそば事件でした。

とはいいつつも我々も忙しく、訪問診療や往診が増え続けているので各診療所では往診先で使える携帯型のエコー器械を購入して使うようになった。バナナくらいの大きさの器具を腹にあてると手元のスマホ画面に肝臓や腹水、胸水などが描出される。患者の腹水を抜くときに安全な場所を決めて穿刺するにはこのエコー器械が必須アイテムとなりつつある。今年度はにじいろクリニックでもこの機器を購入したようだ。
医者の触診のさらにその奥の世界を知るには文明の利器も有用なのである。

健康いちばん 2023/04 四季のカルテ
村上正治

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